183-衆-厚生労働委員会-13号 平成25年05月22日 ○柚木委員 民主党の柚木道義でございます。  本当であれば、先ほどの古屋先生のイクメンの話も、私も超党派議連としてさせていただきたいところなんですが、それはまた別途させていただくとして、きょうは、先週の議論に続いて年金の質問をさせていただきたいと思います。  もちろん、法案審議のこともやるんですが、その大前提として、先週、議論、やりとりをさせていただいた、今後の、我々、国民の皆さんの年金の受給額が、景気や雇用、賃金をよくしていくという前提でやるはずのアベノミクスの物価上昇の影響によって、場合によって減額ということになってしまう、この議論がしっかりと、まず土台がしっかりしていないと、幾らこの法案の議論をやっても、土台がぐらついていては国民の皆さんの信頼も得られないという部分で、前回に続いて、もう少し議論を深めさせていただきたいと思っています。  資料、これは、前回おつけしたものを一ページ目以降つけておりまして、厚生労働省からいただいたこの資料を前提に、四ページ目以降で、前回つけていた資料をさらに、もう少し、委員の先生方やあるいは傍聴されている皆さんも含めてわかりやすいように、二〇一四年、一五年段階であれば、四ページを見ていただければ、特例水準の影響による減額、あるいはマクロ経済スライドの影響による減額、そして、ここには物価上昇先行の場合の減額という表現をしていますが、いわばアベノミクスの進行による物価上昇の影響ということで、わかりやすく書かせていただいておりまして、こういった資料を前提に議論を深めさせていただきたいと思っています。     〔委員長退席、西川(京)委員長代理着席〕  私は、繰り返しますが、アベノミクスがいい悪いということをこの委員会で申し上げておりません。やはり、デフレからの脱却、そして、当然、賃金上昇、雇用の増加、こういったことは重要だと思っています。ただ、その副作用としてこういった年金の受給額減少というようなことが起こるとしたときの対策の是非であったり、あるいは、そもそもそういうことをどう考えるのか、こういったところを、ぜひしっかりと認識を深めさせていただきたいと思っているところでございます。  それで、委員長、今ちょっとかわられているんですけれども、理事もされていらっしゃるので御存じだと思うので、ちょっと確認をさせていただきたいんです。  前回の厚生労働委員会での私の質問の中で、まさにこのアベノミクスによる物価上昇による年金受給額の減額、こういった影響について、これは本当に、大変、三千万人に上る年金受給者の方々に影響してくる話ですから、ぜひ集中審議をやっていただきたいということをお諮りいただきたいということを申し上げたわけですが、それは理事会でどういう協議になったでしょうか。 ○西川(京)委員長代理 追って、委員長交代の後に、委員長からお答えいただきたいと思います。 ○柚木委員 では、委員長が戻られて、ぜひ御報告いただきたいんですね。  私がお聞きをしておったところでは、実は、きょう、この重要広範という年金のこの議論に安倍総理が御出席をいただいて、そしてしっかりと議論を深めた上で採否に進んでいく、そういうことだとお聞きをしていたわけですが、きょう、総理がお越しいただけないというふうにお聞きをしているわけでございます。  私は、これは本当に、委員長がおられればですが、今、代理で座っていただいておりますので、その代行のお立場で、ぜひ委員長にお伝えいただきたいですし、私からも戻られた際にはお願いしたいと思っているんですが、改めて、このアベノミクスによる物価上昇が年金受給額の減少を含めて与える影響について、採決までに私はしっかり集中審議を行っていただきたいんです。  これは、ぜひ、もう一度、きょう、まだ理事会が行われると聞いておりまして、お諮りいただけませんか。 ○西川(京)委員長代理 その御趣旨は、理事会に諮って、また、委員長にもお伝えしたいと思います。 ○柚木委員 と申しますのも、前回、田村大臣が、この後、山井委員がしっかり、議事録を、資料も準備をされていて、安倍総理の従来の、アベノミクスによる物価上昇による年金受給額への影響を答弁された内容を、前回、事実上、覆す答弁をされたわけですね。  つまりは、この資料の一ページ目、まさに物価上昇二%、賃金上昇二%、あるいは物価上昇一・五%にした議論もしました、あるいは二、一の真ん中の箱の議論もしました。いずれにしても、名目上は、田村大臣はこれを実額と言われましたが、混乱しますから、きょうは使う言葉を名目と実質でそろえさせてくださいね、名目上は上がる、しかし実質は物価上昇が先行することによって年金受給額が減額になるという数字も含めて、お認めをいただいたわけです。  そうすると、後ほど山井委員の御質問にもあるんだと思いますが、これまで安倍総理は、物価が上がれば年金も上がるんだ、そしてまた、五兆円の運用益が出て、そしてその部分が年金の上昇につながるんだというように、国民の皆さんが本当に受け取るような御答弁をされてきたわけです。しかし、田村大臣は、前回の私とのやりとりで、安倍総理も物価上昇によって年金減額が起こるということは認識しておられるというような御答弁を実はされたんですね。  本当にそうなのか、総理が本当にそう認識されているのか。ある意味、与党の委員の皆さんからも、それは総理に聞いてみなきゃわからないんじゃないかというような御発言もあったわけですね。私はそのとおりだと思いますよ。総理御本人に、やはりこの委員会で、集中審議で説明をいただくべきじゃないかというのが私の考えなんです。先ほど委員長にお願いをしたとおりでございます。  それで、具体的な質問に入ってまいりますが、一ページ目、これは前回の田村大臣とのやりとりで使わせていただいた資料でございます。  これは、平成二十七年四月、まさにことしの十月、二十六年四月、二十七年四月、この三年間で特例水準が解消されていくという中で、物価上昇を一番上の箱が二%、賃金上昇二パー、真ん中が物価上昇二パー、賃金一パー、そして一番下がそれぞれプラマイ・ゼロの場合で推計をしたものでございます。  この中で、先ほど申し上げましたように、名目上の年金額は上昇する、しかし実質的な年金額が減少するということをお認めいただいた上で、大臣がおっしゃったのは、実質的な減額というのはアベノミクスの影響ではなくて、マクロスライド効果で、かつ、そもそもマクロスライドの発動効果が十分に発揮されていない、そういう特例ルールがあるために、多分、たまたまこのタイミングでアベノミクスによる物価上昇が起こったときに、その年金減額によって本来水準に近づくということになるんだという認識を示されたわけですね。これは私の理解ですよ。  ただ、そうおっしゃる大臣の御認識にも、私は、ひょっとしたら誤認というか、誤りがあるのではないかということを実は思っているわけでございます。  資料四ページ目をごらんいただければと思います。一ページ目の資料の数字の前提によって私が計算をしたものを四ページ目におつけしているんです、全く同じ前提で。  二十七年四月の年金水準をごらんください。二十七年、二〇一五年四月からの年金水準等で、箱でいえば、右から二番目の大きな箱ですね。ここに書いておるのは、上側、ケース1は、物価、賃金ともにプラマイ・ゼロ、そしてケース2は、物価上昇二パー、賃金上昇一パー。一枚目の資料でいえば真ん中の箱ということであります。  これで、私もちょっとそれぞれ月額の減額分をちゃんと、いただいた一ページ目の厚労省の資料に従って計算してみました。そうすると、特例水準引き下げ、これは〇・五パーです、この年。この影響が、基礎年金、厚生年金、月額ベースでそれぞれ三百三十四円、千百七十六円、これが減額の影響です。  ちなみに、マクロスライド、これも本当は一・二が発動するところが、大臣おっしゃるように、これはゼロ以下にはなりませんから、事実上〇・五%しか発動しない。この効果は、まさに上と同じで、三百三十四円と千百七十六円、基礎年金と厚生年金、月額ベースです。  しかし、物価二パー上昇ですから、実質上は、当然、一引く二ですから、一%分、物価上昇先行分の減額効果がここにあらわれる。これは、金額で出せば、見ていただければすぐおわかりです、倍の数です。基礎年金、厚生年金、月額ベースでそれぞれ六百六十八円、二千三百五十二円ということになって、トータルでのマイナスの影響が、一番下にある、基礎年金ベースで月額千三百三十六円、厚生年金で月額四千七百四円。当然、年間にすれば、万円単位の大変大きな影響になっていくということでございます。  大臣、これを見ていただくと、厚労省の数字を前提に、そして、物価上昇率二パー、賃金一パーというのは十分起こり得る数字です。こういうことが実際に、数字としてここにお示しをしたわけですが、これは、マクロスライドあるいは特例水準も含めて、この減額分の影響以上に、アベノミクスで物価が上昇したときの、物価上昇先行の場合の減額の影響の方が大きいというのが数字上出ているわけですが、この数字をお認めいただけませんか。  ちょっと、大臣にお聞きしているんです。違うことを吹き込まないでくださいね、この間の調査会みたいに。 ○西川(京)委員長代理 田村厚労大臣、御答弁よろしいですか。 ○田村国務大臣 済みません。もうちょっと、あらかじめ御説明をいただくと、これは多分、誰が見てもそう簡単にわからないですよ。いきなりこれを出されて、どうだと言われても、なかなかよくわからない。  私の認識は、多分、物価が二%上がって、賃金が一%しか上がっていないから、そもそも物価スライドが一%しかかからない、この部分で物価と年金の上昇率が一%ということになるだろう。しかし一方で、特例水準の解消とマクロ経済スライドの発動がその本来物価スライドがかかる一%部分を帳消しにするから、事実上は名目で年金は上がらないから、ですから、物価上昇した分だけはそのまま目減りするというか、損をするという解釈でよろしいですか。(柚木委員「はい、そうです」と呼ぶ)  こういう前提を置けばこういう前提ですが、そもそも、賃金が上がるということに関して申し上げれば、このような賃金の上がり方かどうかというのは、これは経済状況ですから、そもそも我々は、アベノミクスというのは物価よりも賃金を上げるということは大前提でやる政策ですよね。賃金が上がるというのは、名目です。簡単に言えば、実質賃金ということです。実質賃金がゼロ以上であれば、名目では物価上昇率よりも上に行きますから。ということです。  それを目指しておるというのと、これは、二〇一四年ですから、まだ消費税の影響はないんですね。(柚木委員「いや、出ますけれども入れていません」と呼ぶ)消費税の影響入っているんですか、これは。(柚木委員「入っていない、入れると複雑になるので」と呼ぶ)ないですよね。 ○西川(京)委員長代理 直接話し合わないでください。 ○田村国務大臣 済みません。  二〇一五年だから、だから、消費税のことは、これは別になります。ちなみに、マクロ経済スライドは、消費税が、物価が上がった場合でも感応しますから。仮にアベノミクスが失敗して物価が上がらない、賃金が上がらないという場合は、消費税だけは三%上がります、八%になりますから。消費税が三%上がると物価が大体二%ぐらいは上がるであろうというふうに推測されます。その場合は物価スライドはかかりませんから、仮にアベノミクスが失敗して賃金が上がらなければ。そうなれば、そもそも、消費税を上げた分の物価上昇率がそのまま年金の目減りになるということでございます。  ですから、アベノミクスの物価上昇という前に、まず必ず消費税という大前提での物価上昇があるというのは、皆様方がこの法律を提出されたわけでありますから、消費税増税法案を。ですから、そこは御理解の上、年金制度も御理解いただいておられたと思いますので、御理解の上での御整理であるというふうに認識はいたしております。 ○柚木委員 多分、そういう答弁をいただけると思ったので、六ページ目の資料を用意しておりますのでごらんいただけますか。  よりわかりやすく、今おっしゃっていただいたように、当然、アベノミクスというのは、物価上昇が先行しても、いずれ賃金上昇が上回ることを目標としているわけですね。  それで、ケース1、2、3と御用意をさせていただきました。  今議論していたのが、物価上昇二パー、賃金上昇一パーのケース。これはまさにまだ賃金上昇が上回っていませんから、わかりやすくするために「今一つのアベノミクス」というふうに囲みました。二番目、物価と賃金の上昇率がそれぞれ並ぶ、つまり、追いついてきた。これは「まずまずのアベノミクス」という言い方をしました、便宜上。大臣が言われるように、目標どおり物価上昇を賃金上昇が上回ったケース、これは二パー、三パー。別に賃金上昇が四パーでも五パーでもいいんですよ、同じことですから。この三つの前提で議論をすれば、より明確になるわけです。  そこで、縦の箱を見てください。  一番上が、マクロ経済スライドによる実質的な年金額の低下分。次の箱が、アベノミクス、やらない場合にマクロスライドが発動すると言われましたが、これは物価上昇しなければ発動しませんから、いずれにしても、アベノミクスの物価上昇による実質的な年金の低下分。そして、それを合わせたものが実質的な年金の減額分になるわけです。  これをごらんいただきますと、まず、今議論をしてきた物価二パー、賃金一パー上昇の場合、これは先ほどの議論のとおり。しかし、これは実は、ポイントは、平成二十八年四月以降にしたことなんです。つまり、一五年、一四年は特例水準の影響も入って三つの要素になりますから、今の議論のとおりなので、マクロスライドとアベノミクスの物価上昇による影響をより比較しやすくするために書いたもので、もっと言うと、大臣、これからの質問に直接関係しませんが、さっき大臣がおっしゃった消費税とアベノミクスによる物価上昇の関係ですが、これは実は、実質的な減額については別枠なんですよ。  ですから、まず消費税はちょっとおいておいて、マクロスライドとアベノミクスによる低下分の影響をわかりやすく、実際のマクロスライドは十年間平均で〇・九で調整値が出されていますから、実際には二〇一六年が一・一、その次も一・一、ずっと続きますが、平均すると〇・九ですから、もう少し先のところまで議論するために平均値で置いています。大差はありません。月額平均でも数円程度です。  それで、アベノミクスの影響、それぞれごらんください。  実際に、大臣がおっしゃったように、ケース2もしくはケース3、「まずまずのアベノミクス」あるいは「目標どおりのアベノミクス」が実現した場合には、実質減はマクロ経済スライド分の影響のみで、トータルでも変わりません。一番下の箱、マイナス〇・九%、月額ベースでそれぞれ出しています。  しかし、私が非常に懸念しているのは、アベノミクスが本当に物価先行の後に賃金上昇が追いついてこなかったとき、あるいは、その時期によっては、ここにケース1で書いたように、アベノミクスの物価上昇分、この部分がマクロスライドの減額分に加えて実質的な減額に影響が出てくるわけです。ちなみに、消費税が入ればさらに減額になります。だから、大臣にとってよくない話になるので、あえて除いたんです。  アベノミクスとマクロスライドの関係で考えたときに、一番下を見ていただきますと、「まずまずのアベノミクス」あるいは「目標どおりのアベノミクス」に比べると、物価上昇を賃金上昇が上回らなかったときには、残念ながら、実質的な減額、しかも、マクロスライドの影響を上回る。もっと言うと、先ほど来私が申し上げている、前回の、マクロスライドが全部発動、機能しなかった、そういうときにアベノミクスの物価上昇によってそれが本来水準に近づくということになったんだという答弁も、このケース1の場合は当てはまらないんです。〇・九全てが発動するんです。  ですから、マクロスライド全てが発動しても、仮にケース1のような状況が起こったときには実はこれだけの実質の減額になる、こういうことが起こっているわけで、大臣、この数字は確認いただけますね。 ○田村国務大臣 何かもう、物価が上がるのはだめだ、つまり経済成長するなとおっしゃっておられるように私は聞こえて仕方がないので、デフレがずっと続いてきたからこういう状況が起こって、特例水準みたいな問題も、まあ、これは我々が年金を下げなかったからという責任がありますから、そういう意味では我々も責任を感じておりますが、このような問題が起こったんですね。  つまり、なぜかというと、そもそも、年金というものが実質のみならず名目で下がるという状況は、国民の皆様方が、年金が名目で下がる、実額というのは使わないでくれという話ですから、名目イコール実額ですよ、実額が下がるということは許せないというお叱りをいただいてきて、なぜこんな状況ができたんだというお怒りを我々はいただいてきたわけでありますよ。ですから、そういうお声を反映して、本来ならば物価スライドで年金を下げなきゃいけなかったのに、下げないということで、結果的には財政状況を悪化させてしまったという罪つくりな状況を我々はつくった。  そういう反省のもとに、やはりデフレの状況はよくないだろう。二十年前と比べても国内総生産が名目で余り変わらない、国民所得が名目で変わらない、つまり、日本の国は全くもって名目で経済成長していない。こんな状況だから、今ほど来ずっと話してきたように、保険料収入はふえないわけですよ、標準報酬月額が上がらないから。それで、社会保険自体がもたないという議論をずっとこの間してきたわけじゃないですか。  そこで、物価を上げて、まともに経済成長をできるような国にしようというのは、多分、民主党政権であったときも同じようなことをおっしゃっておられたと思うんです。そのときに、物価だけ上げるなどということをあなた方もおっしゃっていなかったと思いますよ。  それは、まさに、物価が上がり、それ以上に賃金が上がる、つまり、実質賃金上昇率がプラスになるということを前提に物を考えてきたからこそ、あの例の……(柚木委員「関係ある答弁だけお願いします」と呼ぶ)いや、違うんです、関係あるんです。皆さん方とともにつくった消費税法案の中においても、そういうようなくだりが附則に入っていたわけじゃないですか。  ですから、考えていることは私は同じだと思う。つまり、物価が上がったにもかかわらず、それ以上に賃金が上がらないという状況を経済政策の中でつくるというのは、これは経済政策としては決してよしとしないわけでありますから、それ以上に上がるということを前提に考えているのがアベノミクスでございますので、実質経済成長をプラスにして、実質賃金をプラスにする、こういう政策に全力を尽くしてまいりたいということで、御理解をいただければありがたいということでございます。     〔西川(京)委員長代理退席、委員長着席〕 ○柚木委員 大臣、答弁の内容は私も共有できるんですが、聞かれたことにぜひお答えいただきたいんですね。  もう一遍確認しますよ。  六ページ目、この「今一つのアベノミクス」のケースが、大臣言われるように起こらなければいいですよ、それは目指してくださいよ。しかし、起こったとき、どうするんですか。起こったときに、ここに申し上げた、マクロスライドの減額分以上の効果がアベノミクスの物価上昇によって起こるこのケース1の箱の数字、これは、数字は正しいんですか、違っているんですか。イエスかノーでお答えください。 ○田村国務大臣 あえて申し上げれば、アベノミクスでなかろうが、デフレ下であろうが、そういうことは起こるわけでございます。 ○柚木委員 我々は、もちろんデフレからの脱却、私も、最後、財務省で仕事をさせてもらいましたから、もちろん取り組んできました。しかし、二%のインフレターゲットということを明示して、まさに、日銀の副総裁がそれが実現しなければ辞任するというような、そこまで明確なインフレターゲットで我々は取り組んできていないんです。ですから、前提が違うわけです。それで……(発言する者あり)ちょっと、ごめんなさい、委員長、真剣な議論をしているので、ぜひ、ちゃんと聞いていただきたいんです。  私は、デフレからの脱却は必要だと冒頭も言いましたよ。そして、賃金上昇、それに伴う雇用の増加、私は、ぜひ、本当に目指していただきたいと思っているんですよ。ただ、どんなによく効く薬にも副作用があるわけですよ。その副作用のことまで考えて働くのが、我々政治家あるいは大臣のお仕事じゃないですか。だからこそ、起こらないことを前提に議論していては、国民にとって不誠実だと思うんですよ。  仮に、今回だって、賃金、あれだけ総理が財界にもお願いしてやった。しかし、直近の数値で、では、賃金は上がったか。そういう状況にまだなっていないじゃないですか。だから、私は聞いているんです。もしならなかったことも含めて、そういった状況が起こったときに、それをどう考え、対策の必要性があるのかないのか。それをちゃんと我々は先取りして議論をしていくことが、責任ある、もっと言うと、三千万人の年金生活者の方々にも、あるいはこれから年金生活になられる現役世代の方々にも、前回あえて対策として申し上げたように既裁定の方、今、年金を既に受給されている方だけじゃなくて新規裁定の方も含めて、今後、こういういわば「今一つのアベノミクス」の状況が起こったときに、生活はあるわけですから、そういう方々に対しての対策として、例えば基礎年金部分、まさに低年金者の方々への影響を緩和すべく、マクロスライドの対象から除外するとか。  あるいは、きょう、もう少し細かく考えてきました、アベノミクスの物価上昇の影響、デフレの影響、どちらでも同じことなんです、もらう方にとっては、そのことが起こったことが問題なんです。  そのときに、例えば、今回、このケース1の場合でいえば、マイナス一・〇%分は、マクロスライド以外に減額の効果が発生したときに、その上回った部分について、何らかの低年金者の方々への、マクロスライドから回避するのか、あるいはもう少し、全部を回避するということではなくて、工夫ができるのか、これを、新規裁定者の方も含めて、マクロスライドの対象から基礎年金部分は除外をする、こういったことも考えられたらどうですかということを、私は本当に真剣に提案しているわけですよ。  年金財政にとってプラスでも、個々の年金受給者にとってマイナスのことが起こるというのが今回のこのケースなわけですから。財政の健全化は我々も必要だと思っているんです、だから特例水準をやるんでしょう。  しかし、このプラスの物価上昇の影響が起こったときに何も考えないかどうかというと、これは話は別で、やはり、マクロスライドも、二〇〇四年に、当時私は、翌年初当選でしたから国会議員じゃありませんでした、しかし、そのときの経緯も、大変な議論があって、騒然とした空気の中で強行採決がなされて、その〇四年に決まったマクロスライドが、今回、史上初めて発動されるのがこのタイミングで、かつ、たまたまこの時期にアベノミクスによるインフレターゲットの時期が重なってこういう状況が起こり得るわけですから。消費税も、目的はそれぞれあるけれども、まさに人為的に物価が上がることになるわけです。現象面としては、アベノミクスによる物価上昇も、物価が上がるということでは同じなわけです。  大臣、私は、この物価上昇の影響分がプラスでマクロスライドに加えて起こったときに、その対策をとる必要性については、消費税も、まさに低年金者の方々には五千六百億円のお金を使って、まさに皆さんと協議をして、そういうことを決めたわけでしょう。だったら、同じように人為的にアベノミクスによって物価上昇が起こるときに、その対策を考える。ここで、やります、あるいはこういう内容をしますとまで言わなくてもいいですよ、そういう対策を講ずることを検討する必要性については、あるのかないのか、お答えください。 ○田村国務大臣 済みません、訂正します。デフレ下ではそういうことが起こらないので。私、興奮して、デフレでも同じことが起こると申し上げましたが、デフレ下では起こりませんので、これはおわびを申し上げたいというふうに思います。  それから、今のお話なんですけれども、これは、委員のおっしゃられている趣旨はよくわかりました。要するに、アベノミクスじゃないんですね。ノダノミクスでも……(柚木委員「わかっていない」と呼ぶ)いや、ノダノミクスでも同じように物価上昇策をやりたいと言っていたんです、野田さんは。ただ、それが実現ができなかっただけの話であって。  安倍さんになって、まだ実は実現できていないんですよ。今、柚木先生、賃金が上がっていないじゃないかとおっしゃられましたが、連合の数字を見ても、賃金は上がっているんですね。(発言する者あり)ベアは上がっていませんが、一時金を含め、上がっているんです。年金は一時金等々も入ってまいりますから、そういう意味からいたしますと、これは上がっているんですね、賃金は。しかし、物価はまだ上がっていないんですよ、足元。つまり、まだ完全に物価は、水面下で、上がっていない。皆さんは、何かもう物価が上がった上がったと言われていますけれども、消費者物価は上がっていないんです、マイナスなんです。  ですから、そういう意味からすると、今、そういう懸念の状況ではまだない中において、我々も一生懸命アベノミクスで経済成長を目指していきたいと思いますが、皆さんもノダノミクスでやはり経済成長を目指そうとしたわけです。ですから、これは、アベノミクスの問題じゃなくて、お互いに同じ方向性を向いていたけれども、その中において、共通の課題としてそういう問題が起こり得る可能性がある、その場合にどう考えるんだという御提案というふうに承らせていただきました。  その上で、確かに、そういう経済状況が起これば実質的な年金額が目減りをする、物価上昇分に対してスライドがかからない分だけ目減りをするというようなことは、これは事実ですよね。そういう経済状況をつくっちゃいけないわけです、お互いに。  しかし、それに対して何らかの、例えばマクロ経済スライドをとめるということになると何が起こるかというと、これは世代間不公平が起こりますね。つまり、その分だけ後世の世代に対してしわ寄せが行くわけでありまして、それをよしとするのかどうかというのは一つございます。  それはまさに、以前から私が申し上げておったとおり、七十歳から七十四歳の一割負担、これを二割の本則に戻せと、皆様方、民主党の方々もおっしゃられた。なぜかといえば、世代間の公平性というものを保つためだと。この議論と同じ議論になってくるわけであります。それを防ごうと思うと、何らかの公費支出という話になってくる。これは税金であります。その財源がどこにあるのかという議論も、これはやらなきゃいけない。  いずれにいたしましても、そういうことも含めて、三党でも御協議をいただいておるわけでございますから、御協議の中で、どういう選択肢があるのかという御提案もまたいただければ、真摯に私どももそのお話はお聞かせをいただきたいというふうに思います。 ○柚木委員 今、重要な答弁をされたのと同時に、非常に、私は認識が違うところもあるわけです。  重要な答弁だと思ったのは、まず、こういった「今一つのアベノミクス」のケースで、このようにマクロスライド以上の物価上昇による減額が起こり得るということを今認められたというのは、前回に続いて、大きな答弁だと思っています。  そして、もう一つ重要だと思ったのは、今まさに、こういったことが起こったときの対策の必要性について言及をされたことです。今後、国民会議の中で、あるいは三党協議も含めて、ぜひ、このようなことが起こった場合、起こらなければそれは杞憂で済むわけですよ、起こったことも考えるのが政治だと思いますから、そこを実際にしっかりと国民会議あるいは三党協議でぜひ議論をいただきたい。その必要性についてお認めをいただいたことは、私は、誠実な答弁だったと思っていますし、大きな答弁だと思いますよ。  ただ、認識が違うのは、ノダノミクスですか、そういう言い方もしていただいたわけですが、これは我々も、もちろん成長戦略、今まさに、医療分野でいえば、我々の医療イノベという取り組みを健康・医療戦略室という形で引き継いでやっていただいている、いろいろなこと、同じように我々も、もちろんデフレからの脱却、そして成長戦略、やってきているわけです。  しかし、アベノミクスと同じようなインフレターゲット二パー、しかも、今のような、まさに次元を超えた金融緩和というような、こういうことで我々はやってきていなかったというのは事実でありますから、方向性は同じでも、その度合い、さじかげん、これによって副作用も大きくなるわけですから、そこは方向性は同じでも、さじかげんのところが非常に重要だという意味では、私は認識が異なっております。  もっと言うと、国土強靱化法案を出されるんですよね、十年間で二百兆。こういうやり方を我々はしていません。財政再建もセットでやらなければ、長期国債金利が今〇・九パー、上昇しているわけでしょう、利払いが六兆円以上ふえるわけでしょう。やり方が違うということは申し上げておきたいんですね。  ただ、今重要な答弁をされたので、世代間格差の是正、不均衡の是正、前回も私も申し上げました。ですから、今大臣、いい御答弁をいただいたので、私もぜひお聞きしたいんですが、確かに私も、世代間不均衡の是正の必要性については共有しているんですね。ただ、大臣がおっしゃられたことと少し認識が違う。  それから、その手法については、実は、一致できるところもあるかもしれないと思ったんです。  まず一つは、盛んに、現役世代と年金世代との不均衡の是正の必要性、前回の委員会でも大臣は御答弁されていたんですが、一口に年金世代、高齢者と言っても、まさに今のアベノミクスの株高によって資産を莫大にふやされるような方、裕福な方もおられれば、生活保護水準ぎりぎりで、貯蓄もなくて、本当に生活困窮者という状況で生活されておられる方まで、さまざまいらっしゃるわけですよ。  ですから、私は、世代間不均衡の是正は重要だけれども、その視点は忘れちゃいけないけれども、しかし、低年金生活者など、そういう方々の暮らしに与える影響は、一口に年金生活者というくくりじゃなくて、もう少し血の通った、きめ細やかな区分けの仕方が必要だというのが、私のポイントの一つなんです。  もう一つは、ちょうど大臣が、医療費の適正化の部分、あるいは不均衡是正の部分の御発言がありました。  まさに、現役世代と年金世代との不均衡是正というのは、今回のこの年金のマクロ経済スライド、こういった形ももちろんそうですが、それに加えて物価上昇による減額というような形でやらなくても、まさに今大臣が例示されたような高齢者医療の窓口負担の話だったり、さまざまな別の切り口でやることができるわけですから。  私は、この年金の減額、そうでなくても本当に苦しい方々がたくさんおられる中で、その中でさらに、マクロ経済スライドですら大議論になったのに、さらに言えば財産権、年金権の問題まで議論がされたのに、加えてアベノミクスの効果による減額で不均衡是正をやらずとも、そのほかの方法があるべきだ、そしてまたそのほかの手法をとるべきだというのが、もう一点、私との認識の違いなんです。  そういう意味でいえば、その違う方法で不均衡を是正するというメニューについては、しっかりと議論をすれば一致できる点はあると思うんですね。  だから、こういう認識の違いに立ったときに、ぜひ大臣、もう一遍、先ほど私お尋ねしましたが、この世代間の不均衡を是正するときにどういう方法があるのか。  先ほど私は、低年金者の方々への、例えば新規裁定者も含めて、マクロスライドの発動を、仮にその効果以上の物価上昇による減額が起こるのであれば、その減額部分について何らかの緩和策を講ずるべきではないかということを例示したわけです。国民会議の中で議論いただければということを言われましたが、私が今例示しているような低年金者の方々への何らかの配慮の必要性、私が申し上げているような、マクロスライドをどういう形で発動させるのか、この部分でもそれが必要性があるかどうか。やるかどうかじゃなくてもいいですよ、検討の余地があるかどうか、もう一度お答えください。 ○田村国務大臣 まず、柚木議員がマクロ経済スライドをとめればいいとおっしゃったので、私は、世代間格差が生まれますねというお話をさせていただきました。  その上で、私は、三党協議でお話をしていただければというお話を先ほどしたので、国民会議とはあえて申し上げなかったんですが、必ず必要だからやってくださいという話じゃなくて、そういう問題意識があられるのならば三党間の中でおやりになられればいいんじゃないですかと。  なぜかといいますと、これは、まさに現役世代も同じことがやはり起こるんですよね。それは、現役世代だって、物価が上がっているのに賃金が上がらないわけですから。  だから、そういう意味からしたら、現役世代もそして年金世代も同じように、経済政策の失敗、仮にそうなれば、ノダノミクスであろうとアベノミクスであろうと、その失敗の中においてお苦しみになられるわけでありますから、そこで私は、世代間格差というような問題、お年寄りも若い方々も同じような、経済状況での実質的な収入の目減り、こういう状況になるのではないですかというお話をさせていただきました。  ちなみに、昨年の七月から九月の四半期の経済成長率はマイナス三・五%ですよ。ですから、ノダノミクスと申し上げましたが、現状はそういう状況だったんです。この一―三はプラス三・五%です。アベノミクスは失敗したというふうなことをおっしゃられておりますけれども、事実、答えとして、一月から三月の実質経済成長率は年率で三・五%です。  これは、十分にその点は違うということは御理解をいただきながら、アベノミクスが失敗だというようなことを常におっしゃられますから、そうじゃないということを御理解いただければありがたいというふうに思います。 ○柚木委員 失敗とは一言も言っていないです。さっきから、成功するように願っていますが、そうでなかったときのことも考えるのが我々の役割ではないんですかということを言っているわけですね。  それで、賃金上昇も、これは数字の出し方で違いますから、上がっていないと。私はそういう数字も見た上で申し上げているので。  これについて、細かい話ですから、なぜならば、「まずまずのアベノミクス」でも「目標どおりのアベノミクス」でも、実際に、マクロスライドで減額をする、こういうことは起こり得るし、仮に賃金が一%上がっても、今の状況では一パーまだ上がっていないわけですから、物価上昇二パーの場合には、これは残念ながら物スラで、マイナスのこの新たな要因が加わるという事実については、こういう状況が起こったときには変わらないわけですから。  こうなったときにはどういう対策を講ずるのかというのは、今、国民会議ではなくて三党協議ということを言われましたから、いずれにしても、その必要性については、大臣は、認めるのであれば三党協議でやってくださいということを言われたわけですから、私は、そこは共有いただいているんだ、誠実な御答弁だと思っているんですね。  ただ、私は、やはり今回、マクロスライド以上に物価上昇によって年金減額が起こるのであれば、こういうところで不均衡是正ではなくて、ほかの分野でしっかりとやっていく。そういうことをやらないと、もっと言うと、大臣、最新の世論調査でも、アベノミクスで賃金や雇用がふえる、上がるんじゃないかと期待をしている方、そうでない方と拮抗していますが、若干上回ってきているんですよ。  では、お尋ねしますが、アベノミクスで、確かに、ケース2、ケース3のようになればいいですよ。しかし、ケース1のようなことになることだって、まだ今の賃金の上昇の度合いを見ていると、私はあり得ると思っているんです。これを期待しているんじゃないですよ、あったときにどうするんだという議論で、では、年金生活者三千万人の方は、アベノミクスによる物価上昇で年金が減り得るというようなことを想定していると思いますか。 ○田村国務大臣 ちょっと言われている意味がわからないんですが。  アベノミクスで、まあ、アベノミクスという言い方が余りよろしくないので、経済状況を冷静に判断して、今のは、物価が上がったけれども賃金は上がらないという意味なのか、物価と賃金が上がったんだけれども、マクロ経済スライドがかかるからその分は上がらないという意味なのか、ちょっと整理した御質問をいただければありがたいというふうに思います。 ○柚木委員 仮にケース1のような状況が、過渡期でもですよ、この後、確かにケース2、ケース3のようにいくかもしれない、でも、いかない状況が続くこともあり得るんです。  それを私も、そういうことが起こったときにもちゃんとした対応をとらなきゃいけないので、それぞれこれを試算したのが、その前のページの五ページ目の資料でございます。これも、最初の一ページ目の資料に基づいてケース1、2とやって、ケース2の「今一つのアベノミクス」が仮に起こったときにどのようなことが起こるか、もちろん起こらなければいいわけで、それをフェアに議論したいから、次のページにケース2、ケース3をあえてつけたんです。  ですから、起こったときに何をするかを考えなきゃいけないんですね。仮に起こったとき、こういうことが起こるんですよ、大臣。  先ほど申し上げましたように、マクロスライドと物価上昇の先行分、それぞれの割合、〇・九減と一・〇減、真ん中の箱。平成二十八年四月以降、こういう月額の減額が起こります。トータルでは実質一・九%減です。  私は、実質の方が重要だと思いますよ。千円のお金を出してこれまで買えていたものが、もし千百円になったら買えなくなるわけですから。年金生活者にとって重要なのは実質で、この実質が、月額ベースで、基礎年金千二百十三円、厚生年金ベースで四千二百七十六円。こうなったときの、その先、これがもし仮に続いたら、よくなればいいんです、この資料も捨てていただいていいんですよ、そうでなかったときに、この議論が重要なんです。  そのときのトータルでの影響を一番右にまとめました。  二〇一四、一五年は、特例水準の解消も含めた影響ですから、マクロ経済スライドの影響が〇・五パー。物価上昇先行の場合、これは二、一の場合ですよ、これが一・五パーということで、年額にすると、基礎年金部分で一万二千円、厚生年金部分で約四万二千五百円、こういう減額になる。  そして、それ以降が、ケース2の状況が仮に起こったとき。マクロ経済スライド分の累計では七・二%分の減少額。額にすれば、基礎年金年間五万五千二百円、厚生年金十九万四千四百円。  ちなみに、仮に、アベノミクスの巡航速度で物価二パー上昇で、賃金上昇がそれを追い越せなかったとき、追い越せたらいいんですよ、追い越せない場合には八%分の減額になるということで、この場合は、基礎年金ベースで六万千三百四十円、厚生年金ベースで二十一万六千円。  これを累計すれば、十年間で、マクロ経済スライドでの減額効果が、基礎年金ベースで五万九千二百十円、厚生年金ベースで二十万八千五百十円。物価上昇分が、基礎年金七万三千四百十円、厚生年金ベースで二十五万八千四百八十円。そして、この二つを足したものが実質的な減額ですから、基礎年金ベースでは十三万円台、厚生年金ベースでは四十六万円というような状況が、仮にうまくいかなかったときに、起こったときにどうするんだという議論をしているんですね。  ですから、私は、うまくいけば、この資料は捨ててもらっていいんですよ。うまくいかなかったことも考えて、今、事前にちゃんと対策を講ずるということをやっておく。私、先ほど、では大臣が年金が減ると考えている、今、ケース1のケースで言っているんですよ、こういう状況が起こったとき、アベノミクスによる物価上昇、もちろん賃金も後から上がってくる、しかし、その過渡期の中で、この状況が何年続くかわかりません、過渡期の中でそういう状況が起こり得ると考えている年金生活者が本当にいるんですかということを尋ねたわけです。  では、もう少し明確な尋ね方をします。  こういう状況が少なくとも賃金上昇が上回るまで続いたとき、今、国民の、特に年金生活者の皆さん、あるいは今後年金をもらう方も含めてで結構です、年金の実額が減る、減り得るということに対して理解をいただける、マクロスライド以上の影響でですよ、理解をいただけると思いますか。 ○田村国務大臣 何度も申し上げて恐縮なんですけれども、給料よりも、賃金よりも物価の方が高いわけでしょう。ということは、これは働いている人たちも同じことが起こっているんですよね。年金をもらっている方々も同じようなルールでやるわけですよ。  ということは、それで年金をもらっている方だけ助ければ、世代間の公平は壊れちゃいますよね。低所得者だけという話になれば、働いている中にも低所得者はいっぱいいるわけでありますから、その方々も同じことが起こるわけで、全員を救えという話になるわけですよね。全員を救えるかどうかというのは、それは財政との絡みがあると思いますが。  ちなみに、今委員がおっしゃられたような状況、十年近く、賃金の方が物価よりも低い、つまり物価は高くて賃金が低いという状況が十年も続けば、その間に政権交代が起こって、変わっているんじゃないですか。そんな状況で国民の皆様方がそもそも信任されるとは思えないわけでありまして、そのようなことを起こさないようにするのが我々政治の責任だ。  しかも、普通ならばそうなるであろう、経済政策が成功すればそうなるというのが、これが普通。我々はそのために今の経済政策をやろうと思っているわけでありまして、それは野田総理も同じ思いだったというふうに思うんです。だから、我々安倍内閣だけが特別じゃなくて、野田さんも同じようなことをしようと思った。だからこそ、前原さんは日銀に対してインフレターゲットを求められたわけじゃないですか。私は予算委員会のときに前原さんとこの議論をしました。そのときには、日銀総裁に対して同じ思いで、思いを共有しましたよ。  ですから、そこは同じだった話なので、なぜそれが今になって急に違うことをおっしゃられて、危惧ばかりおっしゃられるのか、よくわからない。ともに協力し合いながらやりましょうよ。ちゃんと給料が物価以上に上がっていく社会をつくりましょうよ。 ○柚木委員 これは、私も前原さんのお話を聞く機会もありますから、こういう手法で、まさに方向性は一緒でも、程度の問題というのは非常に大きいわけですよ。その議論の時点で認識を共有されたのかもしれませんが、今、前原さん御本人も非常に危惧されていますよ、今のやり方を。  そういう中で、私は、そもそも、十年間この状況が続くことを前提に言っているんじゃないんです、さっきから注意深く言っているんですよ。十年間じゃなくても、何年間か続くかもしれません。物価上昇が賃金上昇を上回っている状況が何年間でも続いたら、その分、減額効果はマクロスライドにプラスアルファで、つまり、アベノミクスによる物価上昇によって人為的に起こるわけですから、その期間の対策を、もし起こったときどうするんですかということで、十年間こんな状況が続いたら、私もそれはとんでもないと思いますよ。  だから、そういうことを防がなきゃいけない。しかし、起こったとき、あるいは何年間でそれが上回るのか、そういうことも考えるのが我々の仕事だということを申し上げているわけです。  それから、もう一つ申し上げれば、本当に今のようなやり方で、私はこの国の経済の、今、十年間で二百兆も含めて、何とかそれを上向かせようという努力をされていることについてはお認めをします。しかし、財政再建については正直後回しになっている。それから、社会保障の議論も、はっきり言って置き去りになっている部分があるわけです、国民会議の状況も。  そういう状況の中で、本当に、経済だけじゃなくて、財政やあるいは社会保障も含めて、国民の皆さんが、そういう状況ならば消費税が上がることも含めて、しようがないね、あるいは、マクロスライドで減額されることに加えて、えっ、知らなかったけれども、アベノミクスで年金減るの、でも、それが仕方ないねと思っていただけるような手法を今本当にとられているかどうかについては、プラスとマイナス、効果と副作用、それぞれ含めて考えることが誠実なあり方だということを私は申し上げているんです。  ですから、私、現役世代、当然重要ですよ、年金世代の方だけのことを言っているんじゃないんですよ。現役世代の方もいずれ必ず年金世代に入っていくわけですから……(田村国務大臣「そういう話じゃないでしょう」と呼ぶ)いや、現役世代の方も、もっと言うと私より若い年代の方と話をしても、もっと言うと、最近、私のフェイスブックにも書き込みがありましたよ、我々の年金は大丈夫なんですか。現役世代の方も、自分たちが年金世代になることを今から心配している中で、えっ、アベノミクスがうまくいったら年金もふえると思っていたら減るのと。これは、今の年金世代の方だけじゃなしに、現役世代の方々にとっても不安の種なんです。  そして、もっと言えば、将来不安や生活不安があれば、当然、お金を使う財布のひもを締めちゃうわけですよ。せっかく今、使ってくれ、使ってくれとお金をじゃぶじゃぶ刷る。何で企業が、その分、設備投資に十分回らないのか。まだ先が見えないからじゃないですか。個人も一緒ですよ。賃金が上がらないと考えている方が八割というデータもあるわけですよ。だったら、お金を使えないどころか、さらに将来年金が減ると思ったら、ためよう、誰だってそう思うわけですよ。  そういう状況にある中で、私は、現役世代の皆さんは、まさにこの国会の中でも、生活保護の適正化もやるけれども、しかし、生活困窮者の方々に対しては支援するんでしょう。そういうことはこの国会で今まさに議論しようとしているわけじゃないですか。そのことについて何も必要性ないということは全く言っていないわけです。それはちゃんとやるんです。  しかし、明らかに意図的に、マクロスライドの発動以外の効果、さらに言えばマクロスライド以上の影響が、今回のアベノミクスの、今後の物価と賃金の上昇の推移によっては起こり得る。そのことは即、年金生活者の方々の生活が苦しくなる。特に低年金者の方々のことを私は言っているんです。  お金持ちの方には申しわけありませんが、世代間不均衡の是正にもっと力をかしていただきたい。我々は、富裕層へもう少し御負担をいただくということも一体改革のときに提案をしたわけです。皆さんは反対されたわけですよ。まさに我々は、生活が苦しい方、これは現役世代も年金世代の方も同じように対策が必要なんです。  そういう視点の中で、現役世代はもちろんそうですよ、しかし、大臣、今の大臣の御答弁だと、現役世代の方のことは考えるけれども、では、年金生活者の方は後回しにしてもいいというふうに聞こえますよ。高齢者の方は、低年金者の方は、対策を後回しにしてもいいんですか。 ○田村国務大臣 ちょっともう、何か捏造に近いような話になってきたので。  私が申し上げたのは……(柚木委員「こういう状況が起こったらどうするんですか」と呼ぶ)聞いてください。私が申し上げたのは、物価が上がって、賃金がそれよりも上がったのが低ければ、現役の方も年金生活者と同じように生活が苦しくなるんでしょう。しかも、現役世代の中にも本当に困窮されている方もいるわけでしょう。その方は苦しくなるんですよ。高齢者だけを救うという話になったら、そちらの方が漏れるんじゃないですかと。(柚木委員「だけをと言っていない」と呼ぶ)いやいや、そういう話で、今、何かの形で年金を補填するという話になれば、若い方々は年金をもらっていないんですから、ということは補填ができないわけじゃないですか。だから、私は、同じ立場で国全体がそれは貧乏になっちゃうわけですよ、そういうことは防がなきゃならないと。  アベノミクスで、アベノミクスでと、何か、アベノミクスをやれば、そのまま今委員がおっしゃったような状況が生まれるみたいなことばかりおっしゃられますが、実際問題、消費の話も今されましたけれども、国民消費はこの一―三は二・三%プラスですよ。だから、実質経済成長率三・五%ですよ。  だから、そういうことを考えても、やはり今の政策というものがそうならないように、我々は一生懸命努力をさせていただくわけであります。  少なくとも、いろいろな不安もあります、だけれども、株も上がってきた、いろいろな意味で、ちょっとは将来に希望が見えるのかなというような雰囲気になりつつあるのも事実ですよ、いろいろな統計を見ていますと。そのときに、不安な部分はいいです、それはそういう最悪の場合もあり得ないとは言わない、何%かの確率で、あるかもわからない。  しかし、そこを殊さら大きく言われて、せっかく皆さんが、久々に、もう十数年来ずっとデフレで給料が上がらない社会だったけれども、もしかしたらこれで上がるかもわからない、そんな期待をお持ちになりかけているときに、それをまたぞろ、悪い、悪い、悪い、悪いとおっしゃらずに、どうか一緒に日本の国のことを思って協力をいただいて、この国の経済再生と、ともに国民の生活が豊かになるための方策というものを考えながら、一緒に御協力をいただければありがたいなというふうに私は申し上げております。  そもそも、同じ思いを共有しながら、民主党の中にも、我々の議員連盟で一緒に活動してこられた方々がいっぱいおられるんですよ、申し上げますけれども。金融緩和というものをやらなきゃいけない、インフレターゲットをやらなきゃいけないと。これは、同じ議連で、民主党の方々の方が多かったんですよ、この議連には。  だから、同じ共有をされている思いの方がおられますから、一緒になって景気をよくしていこうということをお願いさせていただいておるわけでございます。 ○柚木委員 今、大臣はやはり正直な方だなと思いました。  本当に、確かに、起こらないようにすることを全力でやるのは、それは当たり前で、我々の務めなんです。しかし、そういうことがあり得ないとは言えない、数%の確率というのが。私は、それが数%なのか、何十%台なのか、そういうことも含めて精緻な議論を、まさに集中審議でやるべきじゃないですかということを、委員長戻られていますから、提案を前回したわけです。  年金問題の、アベノミクスによる年金の受給額への影響、この集中審議を、まさにこの年金の法案を議論している、重要広範に指定されている、総理がちゃんと出席をいただいて、何できょう総理が来ていないんですか、総理がちゃんと出席をいただいて、今のような議論を、田村大臣が言われていることも含めて、ちゃんとこの場で議論をして、国民の皆さんにそのことを共有した上で、ひょっとしたらアベノミクスで物価が上がって、賃金上昇が追いつくまでの間に年金が減るかもしれない、もし減ったときに、そうなれば必ず減るわけですが、減ったときにどうするんだということも、これまでの安倍総理の御発言の中では全く想定されていないわけですから、そのことを、ここに出ていただいて、議論をすべきだということを提案したわけです。  委員長、その議論、どうなりましたか。 ○松本委員長 柚木委員要求のいわゆる集中審議につきましては、理事会における協議要請がございませんでしたので、協議には至っておりません。  本日の委員会につきましては、理事会において、理事、オブザーバー全会一致で、円満に開会をさせていただいております。 ○柚木委員 私がお聞きをしているのは、総理は時間をとっていただいていたと。三時間。しかし、それを、では二時間でもいいからという話をしたけれども、だめだというやりとりがなされたということを聞いています。  ですから、ぜひ、改めて、この重要広範が採決されるまでに、ぜひ、この後、理事会、今休憩中なんですよね、御協議いただけませんか、委員長。午後から。午後から出てください。 ○松本委員長 ただいまの御要求に関しましては、後刻理事会で協議をいたします。 ○柚木委員 まだ午後の審議もあるわけですし、きょう、二時間、三時間、確保していただいたわけで、そういうやりとりも実際に調整がされていたわけですから。(発言する者あり)確かに、表の議論と水面下の調整はあるでしょう。  しかし、私は、今からでも、この議論の状況を踏まえて、安倍総理が国民の皆さんに、年金生活者の方々だけじゃなくて、将来の年金生活になられる現役世代の方も含めて、今後のアベノミクスの推移によっては、私はそんなこと望んでいませんよ、仮にそういうことになったときには、つまりは物価上昇を賃金上昇が上回らなかったときに、マクロスライドによる年金の減額以上に、本当に年間で数万円単位の減額の効果があらわれる、こういうことになったときにどうするんだということを、ぜひ、総理にここに御出席をいただいて、私はちゃんと採決までに議論をいただきたいと思うんです。  午後からでも、まだ時間はありますから、ぜひ、先ほど後ほど理事会でとおっしゃっていただいたわけですから、そのために理事の皆さんがいらっしゃるわけですから、私は、朝の理事会の状況は今何か聞こえてきましたけれども、まだある、委員長おっしゃっていただいたわけですから、ぜひ午後からの総理の出席をお願いし、そして、田村大臣、現役世代の方は重要です、しかし、年金生活者の方にとって、私は、アベノミクスは冷たい、大臣も残念ながら少し配慮が少ないんじゃないかということを残念ながら感じたことを申し上げまして、質疑を終わります。  ありがとうございました。