第189回国会 法務委員会 第15号 平成27年5月20日 ○柚木委員 おはようございます。本日は、一般質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。  きょうの質問の中では、前半は、この間も私、一貫して、法務委員会ですから、人権という大きな視点の中で、外国人労働者の方々に対して幾つかの視点から質疑をさせていただいてまいりましたが、本日は、外国人労働者の方の社会保険の加入問題について、これは具体的な事案として私も伺っておるものですから、その方だけの問題ではないということも含めて、前半、ちょっと質疑をさせていただきたいと思っております。  また、後半に当たりましては、私の中では、もちろん、人権侵害というくくりでいえばさまざまな側面があるわけですが、私は、そういう意味では最悪の人権侵害だろうと思っております児童虐待、その中でも、所管の法務委員会でございますから、今回については、いわゆる性がかかわる虐待、そして、さきの当委員会での質疑の中でも、裁判員制度の議論の中で、本当に痛ましい事件等の被害者の方のお話も伺いまして、いろいろなフェーズでそういったことを防止していく、あるいはアフターケアをしていかなければいけない、こういう視点も持ちながら、後半部分については、現状における児童虐待の具体的な課題についての質疑をさせていただきたいと思っております。  まず、前半の部分でございます。外国人労働者の社会保険の加入問題についてということなんですが、私、この間、何回か、外国人労働者の方々のさまざまな課題あるいは支援体制等についてお伺いをさせていただいてまいりました。  大きな流れとして、日本再興戦略推進による外国人の受け入れ議論、これは当然しっかりと進めていかなければいけないという側面があるわけですが、その中でも、いわゆる観光客の方に来ていただく観光立国という側面に加えて、例えば、優秀な高度人材、あるいは建設分野などを中心に緊急的、時限的な措置としての、即戦力としての外国人労働者の受け入れの拡大、あるいは、今後も議論があるわけですが、例えば介護分野などでの外国人労働力の、そういう意味では補填といいますか、絶対的に数が不足をしていく中で、ともすれば、欲しい分野で欲しいときに欲しい数だけ、こういった側面がないとは言えない。  そういう中で、そうはいっても相手があっての話ですから、私もこの間、何度か指摘をさせていただいてまいりましたが、こちら側の立場だけでの御都合主義というようなことであってはならないわけでありまして、やはり、多文化、多民族、共生社会というのは、今の政権あるいは私たちの重要な考え方でもありますので、こういったことも含めて、当委員会あるいは他委員会でも質疑をさせていただいてまいりました。外国人労働者の人権問題に加えて、例えば外国人の御子息の教育にかかわるさまざまな課題や支援策についてであったり、ヘイトスピーチについても同様の側面があると考えております。  そういった中で、本日は、私もこのお話を伺いまして本当に驚いているわけでございますが、ある外国人労働者の方の事案を紹介させていただきながら、社会保険の加入問題についてお伺いをさせていただきたいと思っております。  これは一枚目の資料をおつけしておるわけですが、お名前はちょっとお許しをいただいて、被保険者氏名というところに、ンダイキヤさんと、ンで始まるんですね、ンダイキヤさんという方の事案でございます。  このンダイキヤさんは、神奈川県の相模原市所在の、いわゆる中小といいますか、そんなに大企業ではない建設会社で働かれるタンザニア出身の労働者の方でございますが、この方が社会保険に加入をする際に健康保険証が交付されないということでありまして、会社の担当者が、これは今、日本年金機構が所管になっているわけですが、この機構事務所に問い合わせたわけでございます。  そうすると、その機構の担当者の御説明では、当該のンダイキヤさんの氏名がンで始まるということでありまして、現行システムの上では加入台帳をつくれないので、当該外国人労働者の届け出上の氏名、ンダイキヤ云々云々というお名前でいらっしゃるわけですが、その氏名の順番を変えるしかない、そしてまた、そういったケースは何もンダイキヤさんが初めてではなくて、前例があるんだ、こういうことをおっしゃられたということでございます。  ちなみに、私も確認をさせていただいておるんですが、在留カードはもとより運転免許証も記載は本人名、それから、同じ厚生労働省の所管であっても、雇用保険の被保険者名は何の問題もなくこの氏名で受け付けられておりまして、私も現物を確認させていただきました。もっと言いますと、国保の加入の場合は、各自治体が手書きの書面も含めて柔軟に対応されているということも聞いておるわけでございます。  これは、話を伺うと、日本人が同じような対応をされるということはあり得ないと思いますし、逆に海外で同じような対応をされると、私の場合、柚木道義ですが、ミスター・ユノキをミスター・ミチヨシとか、逆にしろとか、ちょっとなかなか、むむっというような状況が今生じていると思っておりまして、それ以上に、現在、健康保険証が交付されなくて、御本人や御家族が困っておられるわけであります。  そこで、具体的に確認あるいは質問をさせていただきます。  まず、これは所管の厚生労働省に伺いますが、私が今承知をしております事実経過が合っているかどうか、そしてまた、氏名の順番を変えろ、こういう対応が初めてではないということのようなんですが、これまで、氏名の変更をいわば強要したというか、こういう件数あるいは時期等、把握している部分について御答弁をいただけますでしょうか。 ○樽見政府参考人 お答え申し上げます。  事実関係ということでございますけれども、まず初めに、お客様に御心配と御迷惑をおかけしておりまして、本当に申しわけないと思っております。  五月の十五日に、御指摘のンで始まるお名前の方がお勤めの事業所から神奈川の事務センターにそういう御相談があったということでございまして、この事務センターから、現行システム上登録できないので、例えば氏名の順番を変更されるなど、最初にンが来ないようにお願いできないかということを御説明したというふうに聞いてございます。  現行のシステムは、何分、実は昭和三十九年から運用しております非常に古いシステムでございますので、当時どうしてそういうふうになったのかということについてはよくわからないところがございますけれども、いわば入力ミスを防ぐという観点から、普通はないような、ンで始まるということについては、それをはじくというような設計になったのではないかというふうに推察をされるところでございます。  なお、現在、この社会保険のオンラインシステム、全面的な刷新ということに向けて取り組んでおりますけれども、その中ではこの問題は意識をしてございます。 ○柚木委員 済みません、最後のところがちょっとうまく聞き取れなかったんですけれども、現在システムを刷新しているから、同様の事例はもう起こらないと……。ごめんなさい、ちょっとそこを確認させてもらえますか。 ○樽見政府参考人 システムの刷新に取り組んでおりまして、この中では、こういう問題が起こらないようにしたいということでは取り組んでございます。  ただ、これは若干時間がかかりますので、直ちにということにはこのシステム刷新ということでは取り組めないわけでございますけれども、刷新をした暁にはこういう問題は起こらないようにしたいということでございます。 ○柚木委員 後ほど改めてそこのところを詰めた議論もさせていただきたいと思いますが、現状の認識については確認をさせていただきました。  きょう、それぞれ所管の参考人の皆さんにお越しいただいておりまして、ありがとうございます。  それで、今の答弁であるわけですが、これは、法務大臣、氏名の順番を変えろということなんですね。現場で実際にそういう応対がなされているわけですね。  これは私も非常に驚いておりまして、もちろんいろいろな人権侵害があるわけですが、氏名というと、我々の中では当たり前のことですが、それを変えろというのを、こういういろいろな手続の際に、半ば強制と受け取るかどうかというのももちろん本人の受けとめ方はあるわけですが、これはアイデンティティーそのものですよね。そういう、氏名の順番を変えろというような対応というのは、私は、本当にこれは人権問題という側面が否定できないと思うわけですが、これは、法務大臣として今の事例を聞かれてどういうふうに思われますか。 ○上川国務大臣 外国人の方々が日本の中で生活をする、働く、あるいは学ぶ、さまざまな場面がある中で、この社会保険の問題につきましても、その大事な要素として、大変大事な手続になろうかというふうに思っております。  とりわけ氏名に係ることについては、個人のアイデンティティーに係るということでありますので、私どもが、日本の氏と名ということでありますが、海外に行くと逆に言われるんですけれども、それはそれとして、それぞれの文化というのもあるわけでありますけれども、やはり適切に対応していくということが大事ではないかというふうに思っております。  具体的にどんな状況の中で、どのような強制というようなことも含めてということについては、ちょっと事情がよくわかりませんので、個々の状況の中での把握という形で、人権問題であるというような認定そのものも、それぞれの個々の中での判断になろうかというふうに思っております。 ○柚木委員 私も、あえて質問前に、ミチヨシ・ユノキというような、国外に出るときにそういう言われ方というのももちろんあるわけですが、この問題というのは、他の、運転免許とか雇用保険上は、きちんと、つまり、まさに真実の氏名どおりに対応されている中でのお話でございますので、やはり国内の同じいろいろな行政手続等の中でこういう違いが出てくるというのは、先ほど、所管の担当審議官の方からの御答弁、システム刷新のプロセスの中で起こらないようにしたいということでありますが、これは当然のことでありまして、人権という部分について、所管の法務大臣としては、そこの意識はやはり明確にお持ちをいただきたい部分でございますので、そこはしっかりと御認識をいただくことをお願い申し上げたいと思います。  それで、これは、二〇〇九年の入管法改正、在留ICカード導入の際に、当該外国籍住民の利便性を図る、こういう趣旨を説明されていたというふうに私は認識をしておるわけですが、これは、関連も含めて、私自身の認識が合っているかどうかも含めて、法務省の方から御答弁をいただけますか。 ○井上政府参考人 委員御指摘のとおり、平成二十一年の入管法の一部改正案の提案理由説明等におきまして、外国人の利便性を向上させるための措置をとっている、そのような説明をしておるところでございます。  具体的に申し上げますと、同年の改正におきましては、いわゆる在留カードの交付を含みまして、新しい在留管理制度を導入したわけでございますが、その結果、法務大臣が外国人の在留管理に必要な情報を正確かつ継続的に把握して、的確な在留管理を行うことが可能となりました。  そこで、我が国に中長期間在留する外国人に対しましては、まず第一に、在留期間の上限をそれまでの三年から五年に延ばすことができるようにする、それから第二に、出国の日から一年以内に再入国する場合は原則として再入国許可を不要とする、いわゆるみなし再入国許可と言っておりますけれども、そのような二つの措置を講じたところでございまして、これらは外国人の利便性の向上に資するものということで、そのような説明をさせていただきました。 ○柚木委員 今御答弁いただいたような利便性の向上をお図りいただく中で、やはり、今、こういう事案があるということを確認あるいは改善を求める質疑をさせていただいているわけでございまして、利便性というのももちろん重要でございますが、もちろん利便性にもかかわるわけでございますが、人権という観点も含めて、それがちゃんと大前提として、人権が尊重、守られるという中での利便性向上という形での運用を、所管の法務省、それから今般においては、健康保険の関係でいえば厚生労働省との連携をいただきながら、しっかりとお取り組みいただきたいと思うわけでございます。  それで、冒頭御答弁いただいているわけですが、これはやはり、先ほどのシステムの導入が非常に古い時期のものであって、入力ミスを防ぐというのは、ちょっと、その状況が今日まで続いているというのは非常にどうかなと私も思うわけであります。  いずれにしても、システム刷新を速やかに行っていただくということが重要でございますし、その際に、外国籍労働者に今般のような不利益が生じないように、とりわけ、健康保険加入、これは当然、法的に強制加入ということでもございまして、先ほど、国保についての柔軟な運用、つまり手書き等による保険証の発行についても申し上げたわけでございます。ぜひ、今のような状況が起こらないようにしたいということでございましたが、このシステムの刷新というのは、これはいつまでに行われるものでございますか。 ○樽見政府参考人 今お尋ねでございますシステム刷新、先ほど申し上げましたように、システム刷新という形で今の記録管理のシステムが稼働するのは平成三十三年の予定で進めてございます。ですので、実は、今御指摘の点につきましては、ンで始まるお名前も登録できるように、この部分については現行のシステムをその前に改修するという方向で、日本年金機構に影響調査を急ぎ行ってもらいたいというふうに考えております。  それから、先ほど、過去の同様の件数ということについてお尋ねがありまして、明示的に申し上げませんでしたけれども、これまで同様の事案があったかどうか、その件数ということについては、そういうシステム上の都合でございますので、システム上検索するというようなことができませんで、個別に全国の年金事務所や事務センターに照会をして確認しなきゃいかぬということになりますので、直ちにお答えができないということについて御理解を願いたいと思います。  以上でございます。 ○柚木委員 最後の方の答弁は、もちろん把握をしていただくことも重要だと思うんですが、まずは、そういう今そこにある問題に対しての対応をしっかりと優先いただくことが必要だというふうには思います。システムについては平成三十三年であっても、今般のンダイキヤさんの部分については現行システムの中で改善をしていただける、こういう御答弁をいただいたというふうに認識をいたしました。  そうはいっても、これはいつ何どきけが、病気になるかわからないわけでありまして、大変恐縮ですが、対応していただけるということで、いつぐらいまでに対応していただけるか、ちょっと目安をお示しいただければありがたいんですが、いかがでしょうか。 ○樽見政府参考人 保険証の発行というところにつきましては、医療保険の方の話になりますけれども、これは、協会けんぽと年金機構と、いわば資格管理をできるだけ速やかに情報共有するということのやり方ということでございますので、この個別のケースについて、できるだけ速やかに保険証を発行できるように、これについては取り急ぎ相談を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、このンで始まるというところについての年金機構のシステム改修、システム刷新よりも早くできるようにということで進めてまいりたいというふうに考えてございますけれども、これについては、まず年金機構の方で影響調査というものをやってもらいまして、それに基づいて予算規模あるいは調達手続というものがございますので、現時点でいつということについてお約束することはなかなか難しい状況にございますけれども、できるだけ早くというお気持ちについては共有しているつもりでございます。 ○柚木委員 誠実に御答弁いただいていると思うんですが、ンダイキヤさんについても、そこにある課題ですから、これも大変恐縮ですが、御対応いただいたら御連絡いただければありがたいなというのが一点で、それから、ンで始まるという部分についても、やはり今、速やかにということでございますので、そこのめどが立った段階で共有をさせていただければありがたいなということをお願い申し上げておきたいと思います。  この問題についての質疑はここまでとさせていただきますので、もしあれでしたら、答弁者の方は御退出いただいて結構でございます。  続きまして、冒頭、後半部分はということを申し上げさせていただきました。児童虐待、これは、いろいろなフェーズ、側面が当然あるわけでございまして、この間、当委員会の委員の先生方もさまざまなフェーズにおけるお取り組みを個別あるいは党派を超えてなされておられると思うんですが、さまざまな児童虐待あるいは虐待死、あるいは性犯罪が絡むもの、いろいろな形で、この間、本当に事件、報道が後を絶たないわけでございます。  私自身も四歳の娘と一歳の息子の父親でもございますが、同年代の子供が虐待で死亡させられる、餓死させられる。あるいは、きょう私も、こういう課題を取り上げることも、ある意味ためらわれるというか、はばかられるような、そういう、児童というよりも幼児というような年齢の方がいわゆる性の商品化の対象になって、こういう方が成長されていく中で、まさにそういうことを認識して、そしてまさに心の傷、場合によっては、それが大変に悲惨な事例にまで進んでしまう場合には、いわゆる性犯罪、強姦、魂の殺人とか、いろいろなことが、当委員会でもお話をお聞きしている部分があるんですね。  当然、児童虐待は、入り口による防止、抑止、あるいは実際にゼロにできないときの対応、アフターケア、フォロー等、いろいろなフェーズがあるわけで、所管もそれぞれあるわけでございます。  これは、私自身、こういったことが起こる背景というものを考えると、親御さんがある意味加害者である事案は、当然、許されないことではあるんですが、背景を調べていくと、その親御さん御自身の生育、養育環境であったり、そこに貧困の問題があったり、そういったさまざまな背景があって、だからといって許されるわけではないわけですが、やはりそういった貧困対策であったり、親子それぞれへの支援であったり、そういう部分が求められることも事実でありますし、そういったことが起こってしまった後の社会的なサポート、支援体制の強化、この質問に臨ませていただくに当たりまして、そういったさまざまな活動をされておられますNPOの方々にもお話を伺ってまいりました。  それで、私の中では、いわゆる児童虐待、虐待死、性が絡むもの、広範な、全体としての児童虐待そのものをいかにしてなくし、減らし、あるいは起こってしまったときのケア、フォローをしていくかという問題意識の中で、これは本当にライフワークとしてやっていかなきゃいけないという思いで、この間、委員の皆さんとともに取り組ませていただいてきている部分はあるんですが、きょうは、その児童虐待の中でも、一つの類型という言い方がいいのかどうかわかりませんが、昨年は改正児童ポルノ法が成立をして、そして施行という流れの中で、この児童ポルノにかかわる部分について、これは当然、児童虐待、性犯罪という視点を持たざるを得ないわけでございまして、その視点から幾つか質問をさせていただきたいと思っているところでございます。  もちろん、改正児童ポルノ法の議論の際に、例えば表現の自由等でありましたり、そもそも、そういった議論、制度の規制強化あるいは厳罰化といったことがどの程度の抑止効果を持つのかどうなのかとか、それぞれの議論があったことは承知をしておりますが、私がきょうの質問でとりわけ視点を絞って質問させていただきたいのは、いわゆる児童虐待、児童ポルノということが起こった場合に、その対象となってしまった児童の方々は、その段階で、あるいはその先に、心身ともに大きな傷を負い、さらにはその後の人生、社会生活が著しく困難に陥ってしまう、そういう状況。この質問に臨むに当たりまして、実際にそういう対応をされていらっしゃるシェルター、当事者、現場の方のお話も伺ってきておりますので、やはりそういうことが起こってしまうということをしっかり我々は認識した上でこの質疑をさせていただきたいと思っております。  それで、まず、所管の法務省、警察庁等にお伺いをいたします。  昨年、改正児童ポルノ法が成立、施行。そして、とりわけ、きょう資料にもおつけをしておりますが、二ページ目以降、これはちょうど、産経ニュースで継続的にそれぞれ重要な視点が書かれておるので、下線を引いておりまして、そこだけちょっと抜き出して認識を共有させていただきたいんですが、私も、今回質問するに当たって調査をしたりする中で、全く認識していないような状況も現状として起こり、また、それがさらに深く進行しているというところがあるんですね。  ジュニアアイドルとか着エロという言葉を私も初めて知りましたが、そういういろいろな状況があって、そして摘発事例もある。しかし、線引きの難しさ、当然、当事者がなかなか告訴をすることが困難である事情等、あるいは法の合間をかいくぐるような違法性ぎりぎりの商品が制作、販売され続ける、こういうことの実情が書かれておりますし、摘発が、この後御答弁いただくわけですが、非常に過去最悪の状況が続いていて、被害の約半数が中学生以下、つまり、小学生、それ以下という部分があるわけでございます。  そういった部分というのは人身取引にも当たるのではないかということで、そういった我が国に対する見方というものもあり、今後、東京オリンピック等に向けて進んでいく中で、こういう実情があるということは、これは非常にゆゆしき状況でもありますし、この産経ニュース、三回のシリーズの最後のところには、やはり、そういった被害を受けた子供、児童、特に女児の方等、心身ともに病んでいく、そしてまた、養護施設の出身者の方に被害が目立つということであれば、アフターケアの必要性等は言うまでもないわけでございます。  そういった状況、そしてその後、ちょっとつけるのもどうかと思ったんですが、小学生あるいはそれ以下とおぼしきような方も含めて、だっこ会、サイン会、こういう状況で行われているという現実。  こういったことも含めてちょっと共有させていただいた上で、現状の、改正児童ポルノ法施行後、そしていわゆる三号ポルノ規定も含めた取り締まり等の進展状況について、所管の法務省、警察庁から御答弁いただきたいと思います。 ○林政府参考人 平成二十六年六月に児童ポルノ禁止法が改正されまして、いわゆる三号ポルノの定義が一層明確化されたほかに、性的好奇心を満たす目的での児童ポルノの所持等の罪あるいは盗撮による児童ポルノ製造罪が新設されるなどしたところでございます。  このように、改正によりまして児童ポルノに対する規制が強化されたということを踏まえまして、検察当局におきましては、三号ポルノ事案を含む児童ポルノ事案につきまして、児童ポルノ禁止法の関係罰則を積極的に適用して、厳正な科刑の実現に努めているものと考えております。 ○柚木委員 これは警察庁の方からも御答弁をお願いできますか。 ○島根政府参考人 お答えいたします。  通年の数字で申し上げさせていただきますが、警察における平成二十六年中の児童ポルノ事犯の送致件数は一千八百二十八件、送致人員は一千三百八十人、被害児童数は七百四十六人と、いずれも過去最多となっております。  なお、児童ポルノ禁止法二条三項の各号ごとに区分した送致件数の統計はとっておりませんが、ちなみに、二十六年中の児童ポルノ事犯の検挙事案で、新たに特定された被害児童数七百四十六人のうち、法二条三項三号に該当する児童ポルノに係る被害児童数は、他の号に該当する児童ポルノがある場合も合わせ、六百三十五人と把握をしております。 ○柚木委員 今のそれぞれの御答弁、法務省については当然、抑止、事後も含めた厳正な対応をいただくこと。そして、警察庁の今の御答弁を伺うと、これは本当に悪い意味で右肩上がりで、過去最多、つまり最悪の検挙状況、被害状況。そのうちの、被害児童七百四十六人のうち六百三十五人について、私、まさに三号ポルノ規定も含めということで御答弁いただいたわけですが、六百三十五人ということでございまして、これは本当にゆゆしき状況が続いているということなんだと思うんですね。  それで、こういったことをいかにして防いでいくかという視点もこの後お尋ねをするわけですが、もちろん、改正児童ポルノ法の法改正の趣旨、取り締まり強化も必要なわけですが、同時に、被害を受けた児童の保護についての必要性ですね。私も、地元が岡山県なんですが、そういったシェルターもございまして、実際に伺ってお話を聞いてまいりました。  改正児童ポルノ法の十五条、私も条文を見ながらちょっとお伺いするんですが、ここでは、心身に有害な影響を受けた児童の保護、これはつまり、回復や成長のための相談、指導、心身とものケア等の責任が法文上明記された、新設されたわけでございまして、この明記をされた行政機関の取り組みの進捗について、もちろん去年のことではありますが、具体的な数値があれば、これはそれぞれ所管の厚労、法務、警察庁から御答弁をいただきたいと思います。お願いいたします。 ○木下政府参考人 ただいま委員御指摘されました、児童ポルノ事犯等の被害児童に対して適切に支援をしていくということは、やはり非常に重要であると考えております。  昨年六月の改正でございますので、直近の数字、二十六年度の数字はちょっと私ども持ち合わせておりませんけれども、改正前の二十五年度の児童買春等の被害相談として受け付けた件数は五十五件というふうになっております。この数字は、非行相談等々もございまして、そういった数字の中にも若干この児童ポルノの関係も入っておろうと思います。  私ども児童相談所といたしましては、特に今、性的虐待についてのガイドラインをつくっておりまして、被害児童に対しまして、児童心理司によるカウンセリング、あるいは医療的なケアが必要な場合には医療的な対応の専門機関のあっせん、あるいは、場合によっては緊急に一時保護をする、そういったことによって適切に児童を保護していくことがやはり必要だと思っておりまして、今後とも、関係機関と十分に連携をとりながら、要保護児童への適切な対応に努めてまいりたいと考えております。 ○島根政府参考人 児童ポルノや児童買春は、児童の権利を著しく侵害し、その心身に有害な影響を及ぼす悪質な犯罪でありますことから、警察では、積極的にこれを取り締まるとともに、被害児童に対する継続的な支援等を実施しております。  数字としては把握しておりませんが、具体的には、少年の特性や心理に関する知識、技能を有する少年補導職員等が被害児童に対するカウンセリング等を行っているところであります。そして、こうした被害児童に対するカウンセリングを実効的なものとするために、臨床心理士、大学教授、精神科医等の専門家を被害少年カウンセリングアドバイザーということで委嘱いたしまして、支援を担当する職員が専門的な助言を受けることができるようにしているところであります。  今後とも、被害児童がその受けた影響から心身ともに回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう取り組んでまいりたいと考えております。 ○岡村政府参考人 児童買春、児童ポルノ等の性被害による被害児童の救済は、積極的に取り組むべき課題と認識しております。  法務省の人権擁護機関では、性被害を含む子供の人権問題について、全国の法務局、地方法務局の窓口、電話、メールなどで人権相談を行っております。この人権相談などにより人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には、人権侵犯事件として関係者の聴取などの調査を行い、児童相談所等の関係機関と連携協力いたしまして被害児童の保護を図るなど、適切な措置を講じているところでございます。  今後とも、これらの相談窓口についてより一層適切な周知に努めるとともに、人権侵犯事件について、関係機関と連携協力し、被害の救済に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ○柚木委員 それぞれ所管から御答弁いただきました。  改正児童ポルノ法の十六条の二において今後の施策の検証等が明記をされておるわけでもございまして、これは、三年をめどに必要な見直し等も講じていくということだと思うんですね。厚生労働省の方からの件数、二十五年分、半年分ですから、さらには、そういう意味では事案の特性というものがありますから、五十五件というのがどうなのかなという思いもするわけではございます。  いずれにしましても、今後のこういった心身へのケアの体制を、それぞれの所管、あるいは児相等、福祉事務所その他、行政機関の責任がこういった形で法律上明記をされたことをしっかりと認識をした形で今後の対応をお願いしておきたいと思います。  それで、先ほどの資料も、JKビジネスとかジュニアアイドルとかだっこ会、握手会、サイン会、例えばBBCなどでもこの特異な状況について報道で特集されるようなことがあったり、いわば、他国から見れば非常に異様なというか異常な状況が、ある意味公然と行われているということでございます。  これに対して私が非常に危惧をするのが、女の子、特に幼児とかも含めて、いわばそういうビジネスの対象になっていることが、その先いろいろ、心身ともに、非常に御本人、当事者を苦しませることになるようなことが想定される中でこういうことが起こっている。これは、つまり、外部の第三者がそういうことを強制的にという部分についての問題ももちろんあるわけですが、親御さんがそういう形で介在をしているという部分について、非常に私も危惧するわけであります。  この点について、所管の警察庁、一定の把握あるいは対応については講じておられるんでしょうか。可能な範囲で御答弁をいただけますか。 ○島根政府参考人 いわゆるJKビジネス等少年の性を売り物とする営業につきましては、女子高生等が児童買春等の被害者となる危険性があることなどから、少年の保護と健全育成の観点から憂慮すべきものであると認識をいたしております。  ただいまお尋ねのありました親御さんの関与ということにつきましては、余り具体的に把握しておりませんけれども、警察におきましては、こうした営業の実態把握に努め、労働基準法等の各種法令を適用して取り締まりを行うとともに、これら営業において安易に稼働している女子高生等に対する補導を行っているところであります。  具体的な検挙事例を申し上げますと、制服姿の少女らを撮影するJK撮影会と呼ばれる撮影スタジオを経営する男らが、女子高生をアルバイトとして雇い入れ、制服や水着などを着用させた上、客の注文に応じて卑わいなポーズをとらせるなどした。また、これは最近の事案ですが、女子高生らが折り鶴をつくる作業を見せる作業所と呼ばれる店舗を経営する男らが、女子高生をアルバイトとして雇い入れ、客に下着を見せながら折り紙をするなどの業務につかせた。こういった事案につきまして、労働基準法等を適用して検挙を行っているところであります。  今後とも、少年の保護と健全育成を図るために、この種事犯の取り締まりを積極的に推進してまいりたいと考えております。 ○柚木委員 本当に、私もある意味質問するのもはばかられるような現実が今そこにあって、それに対して、やはりもう少し我々が危機感を持って臨んでいかなきゃいけないのではないかと思います。  それで、今、そういう対応をいただくということなんですが、まさに労基法六十二条及び六十四条の三、年少者及び妊産婦等の危険有害業務の就業制限違反、こういったことで対応されたりもしているんですが、そうはいっても、実際、その場合、では仮に摘発された場合の量刑はどの程度なのかとか、そもそも親に対する摘発根拠は規制法に存在するのかとか、児童福祉法の三十四条、この児童福祉法の成立過程、歴史的な背景もある中ではありますが、では、それを適用した場合の量刑はどの程度なのかとか、ちょっと、そういう部分も含めて確認をさせていただいた上で最後にもう一つ質問させていただきたいので、これは法務省から簡潔に御答弁いただけますか。 ○林政府参考人 具体的に犯罪が成立するかどうかについては、個別の判断になりますのでお答えすることはできませんけれども、一般論として申し上げますと、十八歳に満たない者を福祉に有害な場所における業務等につかせた場合、労働基準法六十二条二項違反の成立が考えられますけれども、これについては、六カ月以下の懲役または三十万円以下の罰金に処されるという法定刑となっております。  あるいは、児童に淫行をさせる行為のおそれがある者などに情を知って児童を引き渡すなどの行為、これについては、児童福祉法三十四条一項七号違反の成立が考えられまして、三年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金となっております。 ○柚木委員 量刑の可否というか適否について、ここで余り今の答弁について議論をする時間もないわけであります。  他方で、過去のそういった重大事件といいますか、非常に皆さんが記憶の中にもとどめておられるようなそういった事案で、まさに、捜査あるいは裁判等のプロセスの中で、自宅に、つまりこういった背景があってそういった行為に及んでしまうような、そういったことも起こっており、ひょっとしたら、まさに前回も、性犯罪、強姦も魂の殺人というような、本当に痛ましい当事者の方のお話も聞く中で、背景にいろいろな要因はもちろんあるわけですが、いわゆる規制、処罰の部分がどの程度の抑止効果があるのかという議論も同時に必要なんですが、本当にもう少し考え直す余地があるのではないかと私自身は思うわけでございます。  もう最後の質問にいたしますが、自動車の危険運転のときの議論もありました。性犯罪に対する処罰規定、議論が今なされております。こういった児童虐待、性がかかわる部分、こういった部分を含めて、例えば、児童虐待致傷罪、致死罪など、名前は議論すればいいんですが、もう少し、本当にこういうことが起こったときの処罰、対応というものを検討する余地が、これだけで解決するとは申しません、しかし、事の重さを考えたときに、そういったことも御検討いただく必要があるのではないかと私は思うわけですが、これは法務大臣、ぜひ御答弁をしっかりとお願いできませんか。 ○上川国務大臣 今、柚木委員から、一連の、性的搾取というふうな名称で呼んでもいいかと思いますけれども、そうしたさまざまな大変痛ましい事案ということで御紹介の上で、最終的に今のような御質問ということになったかというふうに思っております。  刑罰の規定の中に、児童の虐待とかというところに焦点を当てた形で法定刑を議論するということについては、今までそうしたことをした事実はございませんし、また、その要否につきましても、大変難しい問題があろうかというふうに思います。児童虐待の事案の発生状況、きょうも御指摘ありましたけれども、また、それに対して処罰をどうするかというような状況等も踏まえまして、慎重な上での検討が必要ではないかというふうに思っております。  ただ、今の犯罪の状況の中では、例えば、暴行を加えて死亡させた場合には殺人罪そして傷害致死罪が適用されますし、また、児童に暴行を加えて傷害を負わせた場合におきましては殺人未遂罪それから傷害罪が成立をするということでございますので、こうした既存の法の適用ということについて、これは、子供であるということを十分に考えながら対応していくということであろうかと思います。適切なる対応が何よりも大切だというふうに考えております。 ○柚木委員 終わります。どうもありがとうございました。