小学生の登下校における安全の確保に関する質問主意書
★本年5月28日に神奈川県川崎市登戸にて、スクールバスを待つ小学生児童と付き添いの保護者が次々に刃物で刺され19人の方々が死傷するという残忍な事件が起きた(以下、「本事件」という)。お亡くなりになったお子さんと外務省の方のご冥福をお祈りするとともに、それぞれのご家族にお見舞い申し上げたい。また重傷・軽傷の傷を負った皆さんの1日も早いご回復をお祈りする。
1 小学校に通う児童の登下校時の事件対策には、警察官のパトロールによる抑止効果が重要である。全国でこの取り組みを進めるためには、政府は警察官の職員増や待遇改善をはじめ、警察官OBの活用による学校安全ボランティア(スクールガードリーダー)の増員、民間ガードマンによる警備の拡大、地域の見守りボランティアの増員を図る必要があると考える。これらの取り組みに関する政府の見解を聞きたい。
2 海外ではAI(人工知能)を使い、「攻撃性が高まった状態」にある「不審者」を機械的に察知し、この者に警察官が事情聴取することで犯罪を防ぐ取り組みが始まっている。人権やプライバシーへの配慮を加えた上で、子どもの安全のためにスクールゾーンにこのシステムを導入することを検討しても良いと考えるが、政府の見解はどうか。
3 例えば2001年に殺傷事件があった大阪教育大学附属池田小学校では「安全科」という教科として安全教育及び危機管理教育を実施しており、また不審者侵入事件の対応訓練も教職員によって実施されている。今後起こりうる事件の対策として、全ての小学生について少なくとも年に一度、学校内・登下校中の事件を想定して、防犯ブザーの使用や大声を出して助けを求める、怪しい人がいたら近づかない、安全マップの確認などより具体的な「防犯訓練」が実施されるようにすべきだと考えるが、政府において検討する考えはあるか。
4 すでに、子どもの犯罪被害や不審者に関する情報を共有する防犯メールのサービスが各地の警察・自治体によって進められている。プライバシーに配慮しつつも、不審者情報の共有をさらに広げ、周辺に住む児童の保護者全員に共有する取り組みが必要ではないか。
5 家族や交友関係などが良好な状況になく、孤立感を覚えている人たちが犯罪にまで至らないように、まずは「居場所」と「出番」をつくることが必要である。就労支援も重要である。また、法務総合研究所による研究では無差別殺傷事犯者が心身に何らかの課題を抱えている者が複数みられるが、犯行時に適切なケアや治療などを受けている例は少ないとも指摘されている。そこで質問するが、孤立している人、経済的に困窮している人たちの居場所づくりや出番づくり、就労支援、生活保護など各種の生活支援の拡充と、心身等の課題に関する取り組みをさらに進めることについて政府の見解を聞きたい。