黒川前東京高検検事長の処分に関する質問に対する答弁書
衆議院議員柚木道義君提出黒川前東京高検検事長の処分に関する質問に対する答弁書
一について
黒川弘務元東京高等検察庁検事長(以下「黒川氏」という。)の処分については、法務省において、同省における調査結果を踏まえ、同省の内規に基づく監督上の措置として訓告を行うことが相当であると判断し、検事総長に対し、当該調査結果とともに、同省としては訓告を行うことが相当と考える旨を伝えたところ、検事総長においても、訓告を行うことが相当であると判断し、その旨決定したところである。
二について
検事長に対する懲戒処分は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十四条第一項の規定により、任命権者である内閣が行うものとされている。
三について
法務省における調査の結果、黒川氏については、令和二年五月一日頃及び同月十三日頃に、報道機関関係者三名と金銭を賭けた麻雀を行っていたことのほか、約三年前から一月に一回から二回程度の頻度で、金銭を賭けた麻雀を行っていたことが認められたものの、旧知の間柄の者との間で、必ずしも高額とまではいえない換金比率で行われたものであること、黒川氏が事実を認めて深く反省していたこと等の事情を総合的に考慮し、同省の内規に基づく監督上の措置として訓告としたものである。
このように、黒川氏の処分については、処分を決するに当たり必要な調査を行った上で判断したものであって、適正な処分を行ったものと認識しており、再調査の必要はないと考えている。
四について
お尋ねの「黒川氏の「退職金」の総額」及び「支給額はいくらで、いつ支給されたのか」については、個人のプライバシーに関わる事柄であり、お答えすることは差し控えたい。
一般論として、国家公務員が退職した場合に支給する退職手当については、国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)の規定に基づき算出された額について、原則として、職員が退職した日から起算して一月以内に支払われることとされている。
また、御指摘の「再調査を行う場合」に係る仮定の質問に対するお答えは差し控えたい。
五について
御指摘の「論理的に自動的に消滅する」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
六について
御指摘の川原法務省刑事局長の答弁は、国家公務員法第八十二条第一項に規定する懲戒処分又は法務省の内規に基づく監督上の措置の量定に当たっての事情について述べたものであり、犯罪の成否について述べたものではなく、他方、御指摘の答弁書(平成十八年十二月十九日内閣衆質一六五第二二五号)四及び五についてでお答えしたのは、あくまで刑法(明治四十年法律第四十五号)の賭博罪の成否についての一般論を述べたものである。
その上で、犯罪の成否については、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断されるべき事柄であることから、その余のお尋ねについて、政府としてお答えすることは差し控えたい。